わらべうたって、なあに?
あかちゃんは、ことばを発する前からいつも人の声や周りの音に耳をそばだてています。
それは、あかちゃんが、生まれ落ちたこの世界とのつながりを求めているからです。
そんなあかちゃんの耳に入ってくることばに、リズムや優しいメロディーがあったら、
あかちゃんはどんなにうれしく楽しいことか・・・。
小さい子ども向けのわらべうたは、長い年月にわたって、大人たちが、「この子が元気に
育ちますように」という願いを込めて語りかけてきた”ことばと気持ちの結晶”なのでは
ないでしょうか。
“人の声”から、ことばは生まれる
あかちゃんのことばは、どこから生まれてくるのでしょう?
それは、自分に向けて話しかけてくれる”人の声”からです。日常の語りかけに加えて、
わらべうたも届けてあげませんか。
目と目を合わせ、話しかけ、うたいかける”人の声”はあかちゃんの深いところに染み込み、
ことばの種となり、こころを育てる栄養分となっていきます。
そして、ある日、堰を切ったように、あかちゃんはお話をはじめるのです。
けれども、こうした機械を通さない”人の声”は、じつは今、とても貴重なものに
なってきています。
わらべうたの力を信じて
私たち大人も、生活の中で肉声を交わす機会がめっきり減りました。
それは、便利な機械を利用して暮らすことが当たり前になったからです。
当然、受け継がれてきたわらべうたが、生活の中で歌われる機会もとても少なくなり、
大人からの意識的な働きかけがなければ、わらべうたが子どもたちに伝わらなくなって
しまいました。
けれども私たちは、わらべうたが、子どもたちのことばと心の発達に、
スマホやタブレットにはない大きな力を持っていることを知っています。
だからこそ、もう一度、子育ての中にわらべうたを取り戻したいと願うのです。
特に小さな子どもたちのおはなし会に関わる中で、私たちは、わらべうたが
「聞く耳」を育てることに着目してきました。
聞く耳を育て、ことばの力を育てるわらべうた
「聞く耳」・・・聞き慣れない言葉ですよね。
わらべうたが、「聞く耳」を育てる・・・それはどういうことでしょう?
わらべうたには小さな子どもたちにとって気持ちの良いものがたくさん詰まっています。
日本語の美しい響き、ゆったりしたリズム、シンプルなメロディ、抑揚のおもしろさ、
スキンシップ・・・。
すべて幼い子どもたちにとっては、心地よいものばかりです。
心地よい調べに子どもたちは自然に耳をそばだてます。
「聞く耳」が自然につくられていくのです。
そして、この心地よい調べーわらべうたーを愛情を込めてたっぷりうたってもらった
子どもたちは、「聞く耳」が自然に育てられ、ことばの土台が豊かなものになっていきます。
子どもたちに「ことばの力」を
そんな子どもたちは人の話すことばによく耳を傾け、自分のことばで考え、
人はことばで通じ合えることを知っていきます。
そしてやがて絵本を読んでもらうこと、自分で本を読むことが大好きな子どもに
なっていくのです。なぜなら、「本はことばでできている」から。
時代を超えて人と通じあえる「ことばの力」を子どもたちが手に入れるためにも、
わらべうたをうたってあげましょう。